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退職金の相場は?勤め先や勤続年数、退職理由でこれだけ違う!

会社を辞めるときに気になるのが「退職金」です。勤続年数が浅いと受け取れる退職金が意外に少ないことに驚かれる方も多いかもしれません。今回は退職理由や勤続年数、勤め先による退職金の相場の違いについて解説します。

目次

退職給付制度とは?

退職給付制度とは、社員が会社を辞める際に退職理由や勤続年数などに応じて一定のお金を受け取れる制度のことです。退職給付の受け取り方には退職一時金と退職年金の2種類があり、単に「退職金」と言う場合、退職一時金のことを指すことが多いようです。

退職一時金 退職金の原資として積み立てられたお金を一時金で受け取る。
退職年金(企業年金)

退職金の原資として積み立てられたお金を年金形式で受け取る。
私的年金の一種(年金制度の3階部分)で、主に以下のような形態を取る。

  • 確定給付企業年金(DB|Defined Benefit Plan )…給付額が決まっている年金。
  • 企業型確定拠出年金(DC|Defined Contribution Plan)…拠出額が決まっており、給付額は運用実績によって決まる年金。

受給開始時期は定年年齢や公的年金の支給開始年齢に合わせられていることが多い。転職時には転職先の確定拠出年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などに移行する。移行できる制度がない場合は一時金で受け取る。

※他にも、厚生年金の上乗せ部分である厚生年金基金や、公務員向けの退職等年金給付などがある。

退職給付制度がある企業は◯◯%

退職給付制度は義務ではなく会社が任意で導入するもののため、制度の有無は会社によって異なります。厚生労働省の調査によると、退職給付制度がある会社は約80%に上ります。なお、企業規模によって退職給付制度の導入率は異なり、従業員数1,000名以上の大企業では92.3%なのに対し、99名以下の中小企業では77.6%となっています。

退職給付制度がある会社のうち、一時金のみを受け取れる会社は70%強、年金のみを受け取れる会社は10%弱、一時金と年金の両方を受け取れる会社は20%弱という結果になりました。これもまた、大企業は両制度を併用している企業が約半数(47.6%)なのに対し、中小企業は一時金のみという企業が大半(82.1%)を占めています。

自分の勤め先に退職給付制度があるのか、そしてそれがどのような内容なのかを就業規則や賃金規程、退職金規程で確認してみましょう。

退職給付制度の有無
退職給付(一時金・年金)制度
退職給付制度の内容
退職給付(一時金・年金)制度
    

退職給付額は退職理由によって大きく変わる

退職給付の金額は退職理由によって大きく変わります。退職理由による給付水準の違いを定年退職時の平均給付額を基準に比較すると、自己都合退職の場合は-23.4%、会社都合退職の場合は+8.7%、早期優遇退職の場合は+17.3%となりました。自己都合退職と早期優遇退職では実に1.5倍もの差があります。

退職金の平均給付額(大学・大学院卒で、勤続年数20年以上かつ45歳以上の退職者)
退職給付(一時金・年金)制度
    

退職金の給付額の細かな算出方法は会社によって異なりますが、多くの場合、退職時の役職や勤続年数によって決められた給付金額に退職事由係数を掛けて算出します。

自己都合で会社を辞める場合、退職事由係数を1未満にすることで退職金を減額する仕組みになっています。上記は勤続20年以上のデータですが、勤続年数が短いと減額幅はもっと大きくなります。勤続2~3年未満では退職金ゼロという会社も珍しくありません。

退職事由係数の一例

勤続年数 会社都合退職
の場合
自己都合退職
の場合
3年未満 0.0 0.0 ←勤続3年未満の場合は給付なし
3年以上5年未満 1.0 0.5
勤続年数に比例して係数も大きくなる
5年以上10年未満 1.0 0.7
10年以上20年未満 1.0 0.8
20年以上30年未満 1.0 0.9
30年以上 1.0 1.0 ←30年以上働けば、自己都合でも満額給付

<コラム>退職金と税金

退職給付は受け取り方によって課税方法が異なります。そして、退職給付は長年の勤務に対する報償的な給与であるため、各種所得控除によって税負担を軽減する仕組みになっています。

▼退職一時金の場合

退職給付を一時金で受け取ると「退職所得」として課税されます。退職所得は下記の計算式で算出されます。

退職所得 =( 収入金額 - 退職所得控除額 ) × 1/2

退職所得控除額は下記の計算式で算出されます。なお、勤続年数は切り上げとなり、例えば30年と半年の場合は31年として計算します。

退職所得控除額(勤続年数20年以下の場合)= 40万円 × 勤続年数 ※最低80万円
退職所得控除額(勤続年数20年超の場合)= 800万円 + 70万円 ×(勤続年数-20年)

一見すると複雑なようですが、

  • 勤続年数2年以下の方は80万円
  • 勤続年数20年目までは1年あたり40万円ずつ
  • 勤続年数21年目以降は1年あたり70万円ずつ

控除額が増えていく、という意味です。

実際に計算してみましょう。勤続年数38年で退職一時金を2,500万円受け取った場合の退職所得は以下のようになります。

退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×( 38年 - 20年 )= 800万円 + 1,260万円 = 2,060万円
退職所得 =( 2,500万円 - 2,060万円 )× 1/2 = 440万円 ×1/2 =220万円

2,500万円もの大金を受け取っても、課税対象になるのはわずか220万円のみとなるわけです。

▼年金の場合

退職給付を年金で受け取ると、ほかの公的年金収入と合算して「雑所得」として課税されます。公的年金等に関わる雑所得は下記の計算式で算出されます。

公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法(令和元年分まで)

受給者の年齢 公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得
65歳未満 70万円以下 0円
70万円超~130万円未満 収入金額-70万円
130万円超~410万円未満 収入金額×0.75-37万5,000円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-78万5,000円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5,000円
65歳以上 120万円以下 0円
120万円超~330万円未満 収入金額-120万円
330万円超~410万円未満 収入金額×0.75-37万5,000円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-78万5,000円
770万円以上 収入金額×0.95-155万5,000円

公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法(令和2年分以後)

※公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下の場合

受給者の年齢 公的年金等の収入金額 公的年金等に係る雑所得
65歳未満 60万円以下 0円
60万円超~130万円未満 収入金額-60万円
130万円超~410万円未満 収入金額×0.75-27万5,000円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-68万5,000円
770万円超~1,000万円未満 収入金額×0.95-145万5,000円
1,000万円以上 収入金額-195万5,000円
65歳以上 110万円以下 0円
110万円超~330万円未満 収入金額-110万円
330万円超~410万円未満 収入金額×0.75-27万5,000円
410万円超~770万円未満 収入金額×0.85-68万5,000円
770万円超~1,000万円未満 収入金額×0.95-145万5,000円
1,000万円以上 収入金額-195万5,000円

退職金にかかる税金については、以下の記事でシミュレーションを交えて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

民間企業の退職給付額の相場

それでは次に民間企業の退職給付額の相場を大企業と中小企業に分けて解説します。

大企業の場合

国内の大企業に勤めている大卒者の退職給付額の相場を勤続年数、退職理由、職種別にまとめると下記のようになりました。

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
総合職 一般職 総合職 一般職
3年 25歳 32.8万円 32.2万円 68.7万円 57.9万円
5年 27歳 63.4万円 50.9万円 123.8万円 96.8万円
10年 32歳 186.1万円 137.5万円 312.8万円 245.9万円
15年 37歳 407.6万円 286.9万円 588.4万円 426.0万円
20年 42歳 801.8万円 525.5万円 965.9万円 746.2万円
25年 47歳 1,287.0万円 812.2万円 1,426.9万円 1,016.7万円
30年 52歳 1,898.3万円 1,123.6万円 2,012.9万円 1,218.6万円
35年 57歳 2,368.3万円 1,420.7万円 2,455.2万円 1,473.4万円
38年 60歳 2,659.7万円 1,550.2万円 2,686.4万円 1,608.5万円
  • ※全国の従業員数1,000名以上の企業、大卒、一時金・年金含む

勤続5年、27歳で会社を辞めた場合の退職給付額の相場は、自己都合×総合職で約60万円、自己都合×一般職で約50万円、会社都合×総合職で約120万円、会社都合×一般職で約100万円であることから、勤続年数が短いと職種よりも退職理由による差が大きいことが分かります。

その後、勤続年数が長くなるにつれて退職理由による差が縮まる一方、職種による差は開き、勤続38年、60歳まで勤めた場合の退職給付額の相場は、総合職で約2,700万円、一般職で約1,600万円と1,000万円以上もの差がついています。

中小企業の場合

中小企業の退職給付額の相場については全国区の統計がないため、東京都産業労働局のデータを参照します。職種別のデータがないため、大卒者の勤続年数と退職理由の比較となりますが、結果は下記のようになりました。

勤続年数 年齢 自己都合 会社都合
3年 25歳 28.1万円 49.4万円
5年 27歳 54.7万円 89.1万円
10年 32歳 169.4万円 222.3万円
15年 37歳 329.4万円 402.6万円
20年 42歳 541.5万円 613.2万円
25年 47歳 849.9万円 911.9万円
30年 52歳 1,203.2万円 1,222.4万円
33年 55歳 1,406.3万円 1,410.0万円
38年 60歳 1,690.0万円
  • ※東京都内の従業員数300名未満の企業、大卒、一時金・年金含む

勤続5年、27歳で会社を辞めた場合の退職給付額の相場は、自己都合で約55万円、会社都合で約90万円。勤続38年、60歳まで勤めた場合の退職給付額の相場は約1,700万円となり、大企業と同じく退職理由による退職給付額の差は勤続年数が長くなるにつれて解消される傾向が見て取れます。また、大企業の退職給付額の相場は中小企業の一般職とほぼ同じ水準となっています。

公務員の退職給付額の相場

最後に、公務員の退職給付額の相場を国家公務員と地方公務員に分けて解説します。公務員の退職給付額は民間の水準に合わせて適宜見直されていると言われますが、実際はどうなのでしょうか。

国家公務員の場合

内閣人事局の発表によると、勤続年数35年以上の国家公務員(常勤職員)の退職給付額は2,000万円を超えていることから、民間の大企業とほぼ同じ水準と考えられます。

勤続年数 自己都合 応募認定 定年
5年未満 23.0万円 217.2万円 79.5万円
5年~9年 87.3万円 524.3万円 146.7万円
10~14年 265.7万円 757.0万円 320.9万円
15年~19年 535.9万円 1,084.5万円 627.7万円
20年~24年 923.0万円 1,749.0万円 1,077.8万円
25年~29年 1,333.3万円 2,262.7万円 1,629.8万円
30年~34年 1,711.9万円 2,828.5万円 2,075.5万円
35年~39年 2,024.4万円 2,783.8万円 2,378.5万円
40年以上 2,251.0万円 2,466.4万円 2,261.8万円

地方公務員の場合

総務省の発表によると、勤続25年以上、かつ50歳以上の地方公務員の退職給付額も2,000万円を超えていることから、やはり民間の大企業とほぼ同じ水準と言えます。縦列が勤続年数ではなく年齢になっているため、ほかのデータと比較しづらいですが、総務省の調査をまとめると以下のようになります。

年齢 自己都合退職 11年以上
25年未満勤続後の
勧奨・定年退職等
25年以上勤続後の
勧奨・定年退職等
20歳未満 18.8万円
20歳~24歳 15.0万円 94.4万円 87.0万円
25歳~29歳 23.2万円 114.1万円 118.7万円
30歳~34歳 42.9万円 436.8万円 148.1万円
35歳~40歳 86.1万円 675.4万円 279.0万円
40歳~44歳 151.2万円 1,097.5万円 1,559.6万円
45歳~49歳 212.1万円 1,450.0万円 1,840.3万円
50歳~51歳 196.1万円 1,680.2万円 2,026.3万円
52歳~53歳 235.1万円 1,636.2万円 2,107.7万円
54歳 290.3万円 1,315.4万円 2,155.3万円
55歳 316.7万円 1,363.9万円 2,196.6万円
56歳 387.3万円 1,393.7万円 2,236.8万円
57歳 448.2万円 1,350.1万円 2,259.4万円
58歳 488.8万円 1,448.5万円 2,259.7万円
59歳 634.7万円 1,360.6万円 2,254.5万円
60歳 347.1万円 1,188.3万円 2,229.0万円
61歳~64歳 49.9万円 1,193.7万円 1,954.9万円
65歳以上 60.9万円 1,792.1万円 2,948.7万円

まとめ

日本企業の8割が退職給付制度を導入していますが、大企業と中小企業では、制度の有無や給付水準に差があります。また、勤続年数が浅い段階で自己都合により会社を辞める場合は、給付額が大きく減額される仕組みになっています。

時代の変遷とともに雇用の流動化が進み、長い人生の中で一つの会社だけを勤め上げるケースは珍しくなってきています。企業も確定給付型から確定拠出型の年金制度に切り替えるなど、世相に合わせた改革を進めていますが、特に若い世代にとって、退職金を中心にした老後の生活設計は以前ほど現実的ではないのかもしれません。

老後の生活については誰もが不安に思うものですが、かといって親や友人など身近な人にお金の相談をするのは気が引けますよね。そんなときはお金のプロであるファイナンシャル・プランナー(FP)を頼ってみてはいかがでしょうか。老後の生活資金だけではなく、ライフプランに合わせたマネープランの立て方や、日々の家計の見直しまで、さまざまなアドバイスをしてくれます。お困りの際はどうぞお気軽にご相談ください。

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