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出産費用の医療費控除で節税に!控除額と還付金の計算や確定申告の方法も

出産には、検診や通院、入院、分娩などのさまざまな費用がかかります。自治体や保険組合から助成はされるものの、妊娠・出産は十人十色。場合によっては大きな出費になり、家計を圧迫しかねません。そのような医療費の負担を、税金を安くしてもらうことでいくらか軽減できるのが医療費控除という制度です。

この記事では、医療費控除適用のルールや医療費控除の対象になる出産費用の見分け方、医療費控除額・還付金額の計算方法をご紹介します。また、実際に医療費控除を申請する場合の流れについても説明しています。

目次

出産にかかる費用は医療費控除を適用できる

出産にかかった医療費は、条件を満たしていれば医療費控除が適用され、税金が安くなる場合があります。まずは、医療費控除の概要や控除を受けるためのルールについてご紹介します。

そもそも医療費控除とは?

医療費控除とは、税金を計算するときに所得から除外できる所得控除の一つで、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に課税所得から控除できる制度です。課税所得とは、収入から経費や各種所得控除を差し引いた金額で、この金額に税率をかけて税額を算出します。

所得控除には、医療費控除のほかに、生命保険料控除や社会保険料控除などが挙げられます。会社員の場合、生命保険料控除や社会保険料控除は勤務先での年末調整によって控除申請ができますが、医療費控除については自身で確定申告をする必要があります。なお、医療費控除の上限は200万円までとなっています。

確定申告によって還付金の受け取りができる

妊娠・出産に伴う医療費も医療費控除の対象となるので、確定申告をすることで所得税や住民税が安く抑えられ、節税になる可能性があります。この場合、所得税は還付金として払い過ぎた税金が戻ってきます。住民税は翌年の税額が安くなります。

医療費控除の対象となる金額は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費です。医療費控除を受けるためには、翌年の確定申告の期間中(原則2月16日から3月15日の間)に前年にかかった医療費の申請を行う必要があります。ちなみに、確定申告は所得税に関するものですが、控除が認められれば翌年の住民税にも自動的に反映され税金が安くなります。

なお、出産育児一時金などの手当金や、保険から受け取った給付金や高額療養費は、税制上では医療費の補てんという扱いになるため、控除額を計算する際に医療費合計額から差し引くことになっています。

医療費控除額や還付金の計算方法は「【計算例】出産費用の医療費控除と還付金」で詳しく解説します。

医療費控除の対象になる費用とならない費用

妊娠・出産にかかる費用の中でも医療費控除の対象となるものとならないものがあります。以下は医療費控除の対象・対象外の費用項目の一例です。

医療費控除の対象となる妊娠・出産費用
  • 妊婦健診費
  • 妊娠に伴う通院・治療費
  • 妊娠悪阻や切迫早産による入院(医師が認めた場合)
  • 産前産後の入院費
  • 通院、入退院時の交通費(電車・バスが対象)
  • 公共交通機関を利用できない場合のタクシー移動費
  • 不妊治療費

など

医療費控除の対象とならない妊娠・出産費用
  • 妊娠検査薬購入費
  • 里帰り出産に伴い帰省する際の交通費
  • 入院時に利用する寝具や身の回り品の購入費
  • 入院中の外食・出前などの飲食費
  • 赤ちゃんのおむつ、ミルク購入費

など

医療費控除の対象・対象外を判断するポイントは、支出の目的が出産のために必要であるかどうかです。検査や治療は、無事に出産するために必要な支出であることは明確でしょう。通院・入院に伴うタクシー移動は、通常は対象外となりますが、電車やバスでの移動が難しい場合は必要な支出と判断され、医療費控除の対象となります。一方で、入院中に使用する身の回り品は出産のために必要な支出ではないため、医療費控除の対象外となります。

自分で判断がつかない場合は、国税局の電話相談センター*に問合せて確認してみると良いでしょう。

妊娠・出産に伴いかかる費用の内訳や平均額について、詳しくは以下の記事で解説しています。

<コラム>支払いから5年以内であれば還付金の申請ができる

出産費用を初めとした医療費控除の申請を忘れてしまっても、支払いから5年以内であれば還付金を請求することができます。申請できる期間は、医療費を支払った翌年の1月1日から5年以内です。2021年3月の確定申告に間に合うのは、2016年1月1日以降に支払った医療費です。2015年12月31日以前に支払った医療費に関する控除申請は期限切れとなります。

確定申告の手続きや流れについては「出産後の医療費控除申請から還付金受け取りまでの流れ」でご紹介しています。

【計算例】出産費用の医療費控除と還付金

前章では、医療費控除のルールや適用条件について見てきました。ここからは、出産費用を医療費控除として適用する場合の控除額や、払い過ぎた税金が戻ってくる還付金の計算方法、計算例をご紹介します。

医療費控除の計算

繰り返しになりますが、医療費控除額とは課税所得から差し引くことができる金額で、下記の計算式で算出ができます。控除により課税所得が少なくなれば、実質的に節税となります。

<医療費控除額の計算式>

医療費控除額=その年に支払った医療費の合計金額−保険金などで補てんされる金額−10万円*1

*1 その年の所得が200万円未満の場合は所得の5%

それでは、出産した年の医療費控除額のシミュレーションを見てみましょう。以下の表は、医療費控除が適用される場合とされない場合を比較したものです(所得金額が200万円以上)。

医療費控除が適用される場合
例:普通分娩
医療費控除が適用されない場合
例:異常分娩
(吸引分娩や鉗子分娩、帝王切開など)
条件
  • 出産にかかった費用の合計額:55万円
  • 出産一時金:42万円
  • 出産にかかった費用の合計額:65万円
  • 出産一時金:42万円
  • 高額療養費*:15万円
計算式 55万−42万−10万=3万(円) 65万−42万−15万−10万=−2万(円)
医療費控除額 3万円 0円(適用されない)

*異常分娩のほかに切迫早産や切迫流産なども高額療養費の対象となります

このシミュレーションからも分かるとおり、出産にかかる自己負担額が10万円を超える場合は医療費控除が適用されます。医療費控除額を計算するときは、健康保険から受給できる出産育児一時金や、帝王切開などで高額な医療費がかかったときに請求できる高額療養費、生命保険から支払われる給付金などの医療費の補てんとなるお金を差し引くことを忘れないようにしましょう。

還付金の計算

還付金は以下の計算式で算出でき、確定申告によって申請をします。

<還付金額の計算式>

還付金額=医療費控除額×所得税率

※還付は復興特別所得税も対象となりますので、最終的な還付金額は若干増える場合があります

※確定申告により医療費控除が増えることで最終的に所得税率が下がるケースがあり、その場合は還付される金額も減ります

それでは、出産費用を支払った年の還付金のシミュレーションを見てみましょう。以下の表は、医療費控除額が30万円で、課税所得が300万円と500万円の場合のそれぞれの還付金額を比較したものです。

課税所得:300万円 課税所得:500万円
条件
  • 所得税率*:10%
  • 医療費控除額:30万円
  • 所得税率*:20%
  • 医療費控除額:30万円
計算式 30万×10%=3万(円) 30万×20%=6万(円)
還付金額 3万円 6万円
    

*<所得税率の早見表>を参照

上記のように、医療費控除額が同じでも所得税率が異なる場合、税率が高いほうの還付金額が多くなります。これは、所得税の税率が高い分、払い過ぎた税金も多くなるためです。

以下は、還付金の計算で使用した税率を課税所得額別に一覧にした早見表です。なお、所得税を計算する際は、課税所得額に税率を掛けた後に一定の金額を差し引けますが、還付金額の計算には不要なため本表では省略しています。実際の税額は下記で計算した金額とは異なる点にご注意ください。

所得税率の早見表
課税所得額 税率
1,000円以上195万円未満 5%
195万円以上330万円未満 10%
330万円以上695万円未満 20%
695万円以上900万円未満 23%
900万円以上1,800万円未満 33%
1,800万円以上4,000万円未満 40%
4,000万円以上 45%

<コラム>医療費の補てんに該当する?【出産育児一時金と出産手当金】

妊娠・出産時の経済的負担の助けになる助成金や保険金は、税制上「保険金などで補てんされる金額」として扱われるため、医療費控除額の計算式にあるように、医療費の合計から差し引くこととされています。

そこで間違われやすいのが、出産手当金の扱いです。出産手当金とは、出産に伴い会社を休むことで支給される給付金で、働けない期間の生活の保障を目的としています。出産に伴い給付されるお金ではありますが、生活の保障であり、医療費の補てんとは見なされません。

以下は、出産時にもらえるお金の中で、医療費の補てんに該当するものと該当しないものの一例です。

医療費の補てんに該当するもの 医療費の補てんに該当しないもの
  • 出産育児一時金
  • 妊婦健診の助成金
  • 高額療養費
  • 入院給付金*
  • 出産手当金
  • 傷病手当金

*帝王切開や早産分娩などの異常分娩の場合に受けられる民間の医療保険の保障。通常、自然分娩は対象外

妊娠・出産時にもらえるお金の支給条件、もらえる金額について、詳しくは以下の記事で解説しています。

出産後の医療費控除申請から還付金受け取りまでの流れ

最後に、医療費控除申請から還付金を受け取るまでの流れや申請方法をご紹介します。

その年の領収書をまとめて医療費を集計する

まずは、その年に支払った家族全員分の医療費を集計しましょう。病院や薬局などで領収書・レシートをもらったら、すぐにファイリングしておくと、集計のときに医療費が記載された領収書・レシートを選別する手間を省けます。

医療費の集計が完了したら、出産育児一時金をはじめとした医療費の補てん分を差し引き、医療費控除額を算出しましょう。医療費の自己負担額が10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えていたら医療費控除が適用されるので、次で説明する確定申告の準備を進めていきます。

なお、領収書・レシートをファイリングする際は、個人ごとに病院や薬局などの支払先、または治療科目別にまとめておくと良いでしょう。次で説明する確定申告の書類(医療費控除の明細書)を作成するときに役立ちます。

確定申告の書類を準備する

医療費の自己負担額が10万円を超えていたら、確定申告の書類作成を進めていきましょう。以下は、医療費控除を受けるための確定申告に必要な書類の一覧です。

<医療費控除を受けるための確定申告に必要な書類>

  • 医療費控除の明細書(医療費通知に記載がある医療費だけを申請する場合は不要)
  • 確定申告書
  • 源泉徴収票(原本の提出は原則不要。税務署で申告書を作成する場合は要持参)
  • 本人確認書類(身分証明書やマイナンバーカード)

このうち、明細書確定申告書は自分で作成する書類です。書類は、税務署に取りに行くか、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることで入手できます。ほかに、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で作成する方法もあり、この場合はパソコン上で作成できるため、プリントアウトできるなど環境が整っている方にはおすすめです。

なお、2017年度分の申告から医療費通知を添付することで明細書の記載内容を簡略化できるようになりました。医療費通知とは、健康保険組合から「年間医療費のお知らせ」といった名称で送付される書類です。受診者の氏名や受診先機関の名称、医療費などが記載されています。

ただし、通知書に反映されていない薬代や通院のための交通費は明細書への記入が必要です。さらに、通知書の記載内容*が条件を満たしている必要があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

また、2017年度分から申請時に領収書やレシートの提出が不要となりました。ただし、5年間は保存する必要があるので、ファイリングはしておきましょう。医療費通知を明細書の代用とする場合は集計作業がなくなる分、不要だと勘違いして捨ててしまわないよう注意が必要です。

書類提出から1.5ヶ月以内を目安に還付金が振り込まれる

確定申告が無事に完了したら、提出から1.5ヶ月以内を目安に指定口座に還付金が振り込まれます。ただし、申告書類の提出が期限ぎりぎりになってしまうと、振り込みまでの期間が長くなる可能性があります。期限間際には税務署に申告書が殺到し、処理に時間がかかるため、早く還付金を受け取りたい場合は早めに提出しておきましょう。

なお、e-Taxと言われるオンライン上で確定申告書を提出するシステムを利用すると、紙の申告書よりも処理が早く、振り込み時期も早まると言われています。e-Taxの利用は、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」から作成する場合に選択できるため、環境が整っている方は利用してみると良いでしょう。

還付金が振り込まれたら税務署から国税還付金振込通知書が送付されます。この書類の金額と実際に振り込まれた金額が合致しているかを確認しましょう。

<コラム>出産のタイミングが年をまたぐと損をする?

医療費控除は1月1日~12月31日までの医療費を対象とするため、妊娠から出産までの間に年を越すと医療費控除の対象額が1月1日からリセットされて、結果的に医療費控除額が減る可能性があります。

以下は、年をまたぐことにより、医療費控除が適用されない例を示した表です。2020年春に妊娠し、2021年2月に出産。出産でかかった医療費合計は57万円、医療費の補てんとして出差育児一時金42万円を受給した、と設定します。なお、比較しやすいように、このケースでは2020年と2021年の妊娠・出産以外の医療費はないものとして考えます。

2020年1月1日~12月31日まで 2021年1月1日~12月31日まで
条件 期間中にかかった医療費:7万円
医療費の補てん:0円
期間中にかかった医療費:50万円
医療費の補てん:42万円(出産育児一時金)
医療費控除額の計算 7万-10万=-3万(円) 50万-42万-10万=-2万(円)
医療費控除額 0円(医療費控除適用なし) 0円(医療費控除適用なし)

このような設定では、2020年と2021年ともに医療費控除が受けられないことになります。妊娠や出産の時期は予測が困難ですが、条件によっては医療費控除が受けられない可能性もあることを見越しておきましょう。

まとめ

出産に伴い支払った医療費も、医療費控除の対象となります。医療費控除が適用される条件は、その年の医療費合計から出産育児一時金をはじめとした医療費の補てん額を差し引いた金額が10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えることです。確定申告をすることで、所得税や住民税の節税につながります。

出産には検診や通院、入院、分娩などのさまざまな出費がかさみます。出産育児一時金などの給付金に加え、医療費控除申請によって節税できると家計の負担が軽減されるので、ぜひ自分の家庭では適用できるのかを確認してみてください。

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