家計を見直せば、未来が変わる。

家計見直しナビ

家計を助ける
お役立ち情報をご紹介します!

@kakeinavi

帝王切開で出産する人は4人に1人! 今から考えるべき費用と医療保険は?

妊娠・出産を迎える女性にお伝えしたいのが、「必ず経腟分娩になるとは限らない」ということです。妊娠・出産は、いつ何が起こるかわかりません。厚生労働省の2017年の調査データ*では、帝王切開で出産をした割合は25.8%(一般病院)。約4人に1人は帝王切開で出産しており、年々その割合は増えていることが分かります。

もし帝王切開になった場合に備えて、必要な費用や保険の範囲を知っておくと安心です。この記事では、帝王切開やその費用、そして費用の負担を軽くする方法について詳しく解説します。

目次

帝王切開とは?

費用の解説をする前に、まずは帝王切開とはどのような出産方法なのかをご説明します。帝王切開とは、ママのお腹を切って赤ちゃんを安全に取り出す手術方法です。経膣分娩だと危険が伴う場合や、ママや赤ちゃんに危機が迫っている場合に、帝王切開が選択されます。

帝王切開には2種類ある

帝王切開には、予定(選択)帝王切開と緊急帝王切開の2種類があります。順番に解説していきましょう。

予定(選択)帝王切開

予定(選択)帝王切開とは、帝王切開が2度目以降の場合や、逆子や子宮筋腫胎盤の位置異常などの合併症がある場合に適応されます。なお、手術をする日をあらかじめ決めてから行われます。

緊急帝王切開

緊急帝王切開とは、経腟分娩の途中で母体や赤ちゃんに異常が起きた場合や、お産が進まないなど、母体や赤ちゃんの命に関わる際に行われます。また、分娩中以外にも、妊娠中に突然胎盤が剥がれる、赤ちゃんの状態が悪くなるなどの場合には緊急帝王切開が行われます。

緊急帝王切開が必要な状態

緊急帝王切開が必要な状態や病気の中で、頻度の高いものをご紹介します。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降に高血圧が見られる状態です。血圧が高いだけで無事に出産を迎えられることもありますが、重症化すると全身の血管や臓器がダメージを受け、母体も赤ちゃんも命の危険に晒される可能性があります。

脳へのダメージによって子癇(しかん)というけいれん発作が起きたり、常位胎盤早期剝離(次項参照)を発症したりするなど、重篤な合併症の引き金となる可能性があります。

■常位胎盤早期剝離  じょういたいばんそうきはくり

常位胎盤早期剥離とは、正常な位置に付いている胎盤が、妊娠中や出産中(赤ちゃんが出る前)に剥がれた状態のことを言います。胎盤が剥がれると子宮内で出血が増え、赤ちゃんへの血液の供給が断たれます。さらに血が止まらなくなったり、ショック状態となったりする可能性もあるため、一刻も早い帝王切開が必要です。

■遷延分娩  せんえんぶんべん

遷延分娩とは、分娩開始後(陣痛周期が10分以内になった時点)、初産婦で30時間、経産婦で15時間が経っても赤ちゃんが生まれない状態のことを言います。陣痛が微弱、産道が狭い、赤ちゃんが大きい場合などに起こります。

分娩中、赤ちゃんはお腹の中で、子宮の収縮に耐えながら生まれるのを待っています。その状態が長時間に及ぶと、酸素がうまく運ばれない、赤ちゃんの体力が尽きてしまうなど、赤ちゃんの命に関わるため、経腟分娩から緊急帝王切開に切り替わる場合があります。

胎児機能不全

胎児機能不全とは、お腹の中で赤ちゃんが酸素不足に陥り、命の危険にさらされている状態です。妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離、遷延分娩などが原因になります。また、これらの明らかな病気がなくても起こる場合があります。

例えば、胎動の減少に気がついた妊婦さんが病院で検査を受けた結果、胎児機能不全であることがわかり緊急帝王切開となるなど、妊娠・出産は、いつどこで緊急帝王切開が必要な状態になるかわかりません。

帝王切開の費用は?

帝王切開になった場合、費用はどれぐらい必要なのでしょうか?ここからは、帝王切開の費用について解説します。

帝王切開は保険診療?自由診療?

経腟分娩の場合は、医療行為を伴わないため基本的に自由診療です。そのため、分娩費用や入院費用は全額自己負担となります。一方で、帝王切開は医療行為が伴うため、健康保険が適用され3割負担となります。

なお、手術費用は予定帝王切開の場合は約6万円、緊急帝王切開の場合は約7万円が自己負担額になります(ただし、曜日や時間帯で変動あり)。これに加えて、帝王切開に必要な検査料、麻酔料、注射料、入院料なども健康保険が適用され、3割負担になります。

その他にかかる費用は、差額ベッド代、分娩介助料、新生児管理保育料、検査料(帝王切開に関係しない検査)などで、これらは健康保険が適用されないため、全額自己負担となります。

帝王切開の入院期間は?

帝王切開の入院日数は、1週間前後です。しかし、貧血がひどい、血圧が上がらない、発熱しているなど、ママの状態によってはさらに入院が伸びる可能性があります。入院日数によって、入院費や差額ベッド代、食事代などの費用はどんどん増えることになります。

帝王切開のトータル費用は?

例えば、帝王切開で7日間ほど入院した場合、全部でいくらかかるのでしょうか?病院の規模や術後の経過にもよるうえ、手術費用のほかに入院費や差額ベッド代、新生児管理保育料などがかかるため一概には言えず、合計金額が50~100万円以上と金額の幅が広くなります。しかし、経腟分娩の出産費用の平均が約50万円*なので、経腟分娩よりも高額になりそうです。

帝王切開に対する公的支援制度はある?

帝王切開には、さまざまな費用がかかることをご説明しました。ここからは、経済的負担を軽減するための出産に関する公的支援制度をご説明します。帝王切開独自の制度ではありませんが、以下の4つがあります。

出産育児一時金

加入している健康保険から、子ども1人につき42万円を受け取れる制度です。しかし、出産予定の産院が「産科医療補償制度」に加入していない場合は、支給金額が40.4万円になります。また、健康保険組合によって、独自で付加給付金を上乗せしている場合があるため、加入している保険組合のホームページなどで確認しておくと良いでしょう。

なお、出産育児一時金には3種類の申請方法があります。申請の方法や時期、書類の提出先などは以下の表の通りになります。

直接支払い制度 受取代理人制度 産後申請方式
申請書類 直接支払制度合意書 受取代理申請書 出産育児一時金支給申請書
書類提出先 病院 健康保険組合または役所 健康保険組合または役所
申請時期 病院から合意書を
もらってから
出産予定日の
1~2ヶ月*1前まで
退院後
窓口支払い 42万円超過額 42万円超過額 全額

高額療養費

同一月にかかった医療費が高額になった場合、加入している健康保険に申請をすることで、1ヶ月あたりの自己負担限度額を超えた分を払い戻してもらえる制度です。保険診療である帝王切開や切迫早産が対象となります。

所得によって自己負担限度額が違っており、70歳未満の方の1ヶ月あたりの自己負担額は以下の計算式で算出できます。

区分 所得区分 1ヶ月あたりの
自己負担限度額
標準報酬月額が83万円以上の方 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額が53万円~79万円の方 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額が28万円~50万円の方 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額が26万円以下の方 57,600円
低所得者(住民税が非課税)の方 35,400円
  • ※標準報酬月額…会社員について、健康保険や厚生年金の保険料を計算するための区分のこと。毎年1回、4月・5月・6月の3ヶ月間に支払われた報酬(基本給+各種手当)の平均額を元に算出される。自分の給与明細に記載されている保険料と会社を管轄する都道府県の保険料率表を照らし合わせることで確認できる。
  • ※総医療費…保険が適用される診療費用の総額(10割)

この高額療養費制度は健康保険が適用される費用が対象の制度で、経腟分娩など自由診療の項目は払い戻しの対象とならないため注意が必要です。しかし、同じ経腟分娩でも吸引分娩や鉗子分娩、骨盤位分娩などは、医療行為が伴うため保険診療にあたり、高額療養費制度の対象となります。

医療費控除

生計を共にしている家族の、年間の医療費が一定額を超える場合に、確定申告をすることで所得税の一部が還付金として払い戻されるとともに、翌年の住民税額が安くなる制度です。

ここでいう年間の医療費とは、保険診療のみが対象の高額療養費とは違い、自由診療の経腟分娩での出産費用や不妊治療費、産前産後の入院費用や妊婦検診費など、支払ったすべての医療費が対象となります。

ほかにも、家族が風邪をひいて病院を受診した際の医療費や、調剤薬局での薬代なども加算されますが、出産育児一時金や高額療養費、民間の医療保険などから支払われる給付金は医療費から差し引いて算出されます。

出産時の医療費控除や、その計算例は以下の記事で詳しくご紹介しています。

出産手当金

出産手当金とは、産休中に会社から給与が支払われない場合、健康保険組合より一定の金額が支給されるものです。支給対象期間は、産休を取得できる産前42日(多胎妊娠の場合98日)から産後56日目までの範囲内で、支給金額は「(標準報酬日額×2/3)×支給日数」で算出されます。

  • ※標準報酬日額とは、支給開始日を含む直近1年間の、標準報酬月額の平均額を30日で割った値。
  • ※標準報酬月額とは、毎年4~6月に支給された報酬月額(平均額)を基に、社会保険料を決めるために定められている等級に当てはめた金額のこと。等級表は、加入中の健康保険ホームページで確認ができる。

帝王切開費用の負担を最小限にするには?

赤ちゃんや産後の生活のためにも、帝王切開にかかる費用はできるだけ抑えたいところです。

民間の医療保険に加入していると、帝王切開でも保障の対象となるのはご存知でしょうか。医療保険のほかに付帯している特約の保障内容によって、入院給付金や手術給付金が手厚く支給されることもあり、手術や入院の費用よりも多く給付金が支払われる場合もあります。

加入中の保険をチェック!

もし帝王切開となった場合を想定し、現在加入されている医療保険、もしくは生命保険の内容をチェックしてみましょう。保険の内容は、保険証券や「ご契約のしおり(定款・約款)」を確認しましょう。

医療保険の場合

現在、医療保険に加入している場合、帝王切開では入院と手術が伴うため、入院給付金と手術給付金を受け取ることができます。さらに、女性特約を付帯している場合は、上乗せして給付金が支給されます。

しかし、「特定疾病・特定部位不担保」という条件が適用される場合は、残念ながら保障の対象からはずれることになります。この条件は期間が定められているものもあり、医療保険の責任開始日*から2年経過後の出産であれば対象になるという条件の商品もあります。

  • 責任開始日とは、「契約日」「告知と診査」「初回の保険料の払込み」の3項目すべて完了した日(待期期間が無い場合)。
女性保険の場合

女性保険とは、乳がんや子宮頸がんなど、女性特有の病気で入院や手術、治療をした際に保障が受けられます。女性特有の病気には、帝王切開などの異常分娩や子宮外妊娠なども含まれており、入院給付金や手術給付金が受け取れます。しかし、不担保期間が設けられていることもあるため、「ご契約のしおり(定款・約款)」を確認しましょう。

ところで、医療保険と女性保険って何が違うの?と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はご覧になってください。

生命保険(死亡保険)の場合

生命保険とは、被保険者が死亡した際に受取人に死亡保険金が支払われるもので、死亡保険とも呼ばれます。基本的には入院や手術の際に給付金は支給されませんが、医療特約や女性特約を付帯している場合、帝王切開も入院給付金や手術給付金の支払い対象となります。

しかし、あくまでも特約は生命保険のオプションのため、主契約を解約してしまうと特約も解約となり、保障が受けられなくなるので注意が必要です。また、特約を付帯している場合は「特定疾病・特定部位不担保」が適用されないか確認しておきましょう。

<コラム>特定疾病・特定部位不担保とは?

特定疾病・特定部位不担保とは、特定の疾病または部位に関わる入院や治療をした際、保障が受けられないという契約内容です。この条件を付けることで、持病や傷病歴があっても、健康状態に不安がある部位を保障対象から除外することで保険に加入ができるようになります。

例えば、子宮筋腫の手術歴がある場合は「子宮」が特定部位となり、終身あるいは一定期間、保障が受けられません。もし不担保の期間中に帝王切開で出産をした場合には給付金がおりないため注意が必要です。

特定疾病・特定部位不担保の期間は契約により異なるため、ご契約のしおり(定款・約款)で確認をしましょう。

保障の対象にならない場合はどうすればいい?

もし、現在加入中の医療保険や生命保険を確認した結果、帝王切開は保障対象外だった場合には、妊娠前なら保険の見直しをすることをおすすめします。特に、女性保険や女性特約を付帯した場合、帝王切開だけではなく、流産や妊娠高血圧症候群などでも手厚い保障が受けられます。

また、妊娠中に加入しても帝王切開などの異常分娩を保障してくれる医療保険もあります。まずはお金のプロやファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

まとめ

妊娠中の異常は、予測ができないものが少なくありません。そのため、帝王切開はどの妊婦さんにも起こる可能性があります。もし帝王切開となった場合、経済的負担を軽減するための公的支援はあるものの、大きな出費となることには変わりありません。まずは、妊娠前にしっかり備えておくことが大切です。

妊娠・出産に備えて医療保険をご検討されている方は、ファイナンシャル・プランナー(FP)へ相談してみてはいかがでしょうか。下記よりお気軽にお問い合わせください。

家計に関わるお金のこと、色々調べたけど
どこから手をつけていいかわからないという方へ

この記事を書いた人

広田 沙織(看護師・医療系ライター)

3級ファイナンシャル・プランニング技能士。看護師として国立系総合病院の周産期病棟に3年、婦人科クリニックに1年の勤務後、会社員を経て、現在は医療ライターとして活躍中。医療保険や学資保険の選択に悩んだ経験があり、FP3級を取得。700記事以上の執筆経験があり、医療とFPの知識を多くの人に提供したいと考えています。

出産・子育ての記事

TOP